ORGAN EYES
メンバー:
Tommy Campbell (Drums)
Haruhiko ‘HARU’ Takauchi (Guitar)
Daisuke Kawai (Organ)
Raymond McMorrin (TS,SS)
ジャズオルガンを堪能するために
JAZZを想起させる楽器でまず最初にオルガンを思い浮かべる人はあまりいないだろう。サックスやトランペット、そしてピアノがジャズのインストゥルメントとして認知されているのが一般的だ。しかし、パイプオルガンの廉価版としてアメリカ中の教会に設置されたハモンドオルガンは、黒人達にとってピアノ以上に身近な楽器だった。ゴスペルとともに高らかに鳴らされたこの楽器は、瞬く間に彼らのイマジネーションの一部となり、ジャズやロックに採用されることになる。レスリースピーカーの開発がその発展に拍車を掛け、ハモンドサウンドはJAZZのメイン・インストゥルメントとして確固とした地位を築く事となった。
そして今回、ORGANJAZZファンが待ちに待ったアルバムが遂に完成した。トミー・キャンベル(ds)がオルガンプレイヤー河合代介とともに東京でスタートさせた「OrganEyes」は、ジャズオルガニストの叔父ジミー・スミス、そしてすべてのハモンドB3プレイヤーに捧げたプロジェクトで、昨年まで日本全国で精力的にライブ活動を重ね、着実にファンを獲得して来た。今回は日本が誇る名ギタリスト・高内'HARU'春彦、サックスにはジャッキー・マクリーンを師に持つレイモンド・マクモーリンを迎え、トミー曰く「最高の布陣」でファーストアルバムのレコーディングに臨んだ。
このレコーディングは高品質録音で名高いティートックレコーズの代表・金野貴明の呼びかけで実現したもので、彼が昨年12月に茨城県常総市に創設したティートックスタジオで2012年1月行われた。このスタジオはアコースティックサウンドの録音のために徹底的にこだわり抜いたレコーディングスタジオで、周囲には音を阻害する一切の障害物がなく、土壌改質から設計、施工までも彼自らの手で行い、専用電柱トランスの設置や独自のオーディオ専用分電盤までをも取り入れている。そして今回のレコーディングはそのスタジオですみずみまで細心の注意を払いながら進められた。特にハモンドオルガンのレコーディングはレスリースピーカーの周波数特性故、非常に慎重なマイクセッティングが求められる。今回は河合の意向により2台のレスリースピーカーを設置し、より深く繊細なハモンドサウンドを録ることを目指した。振幅変調を十分に意識し、トップとボトムにそれぞれ合計4本のマイクを立て、全ての音を漏らさぬよう細心の注意を払いながらセッティングした録音は、このアルバムのスポットとなっている。(ライナーノーツより抜粋)
江原伊草二(ジャズ評論家)